

PTSDとは何でしょう?
【心的外傷後ストレス障害】
と言って、恐怖体験がトラウマになり、
何気ない時に思い出されて苦しい状態の事です。
今回はPTSDの具体的なメカニズムと、PTSDを快復させる科学の実験。
この2つをご紹介します。
本記事の内容
これを書いている私は、
2014年12月にうつ病にかかり、現在は仕事復帰。
自身の心が傷つきやすい体質の改善のため、
毎日勉強している知識をこのブログでお伝えしています。
1.PTSDのメカニズム
その②:PTSDによる脳のダメージは深刻
その①:恐怖記憶が残る仕組み

PTSDは、つらい体験がトラウマになり、
何気ない時に思い出されて苦しい状態の事を指します。
具体的には以下の経緯でPTSDが引き起こされます。
ラットによる実験を例にとります。
②:電気ショックと同時に『音』を流す
③:『音』を聞いただけで、恐怖反応を起こすようになる
これが続くと、
④がPTSDの状態です。
80年代の映画で「レインマン」という映画がありました。
主演のダスティ・ホフマンが演じる自閉症の男は、
お湯を見ただけでパニックを起こし、
「赤ちゃんが溺れるーー!」
と混乱するシーンがありますが、まさにPTSDのシーンですね。
その②:PTSDによる脳のダメージは深刻

福井大学の友田明美教授が、
子供時代に虐待を受け続けて大人になった男女の脳をMRIで解析し、萎縮や変形が見られたことを報告しています。
具体的には、
→平均19.1%減少
②右前帯状回(集中力・意思決定・共感に関わる部位)
→平均16.9%減少
③左前頭前野背外側部(物事の認知に関わる部位)
→平均14.5%減少
子供の虐待や恫喝は、確実に子供の能力を奪いますね。
2.恐怖記憶を報酬の嬉しさで上書きする、DecNef法

DecNef法=コーデックニューロンフィードバック法
恐怖を感じている時に類似した脳活動パターンを検出したら、
報酬を与えることで、恐怖記憶を打ち消すという方法です。
具体的な方法は以下です。

①:恐怖記憶を形成する
被験者へ「赤い丸」を見せた時に電気ショックを与えることを繰り返す。
これにより「赤い丸」を見るだけで、恐怖にかかわる偏桃体の活動が高まり、
発汗したり、不快になったりする。
→この時の脳活動パターンを調べておく

②:トレーニングを行う
fMRI装置を付け、被験者にいろいろな事を思い浮かべてもらう。
その時の脳活動パターンが「赤い丸」を見た時とどれくらい近いか計測し、
その結果を得点として示す。
→被験者には「赤い丸」を見た時と近い脳活動パターンが出た時に高得点が出るルールとは知らせない。
得点に応じて報酬(金額)が出ることだけ伝えておく。

③:トレーニング終了
報酬の嬉しさで電気ショックの恐怖を打ち消し、「赤い丸」を見せても、恐怖反応を示さなくなる。
これは「赤い丸=恐怖」という記憶が消されたわけではないが、「赤い丸」が「報酬(金額)」に結びついた事で、
無意識的に「赤い丸と恐怖が切り離された」状態ですね。
恐怖が報酬の嬉しさにとって代わる、というわけです。
結論:相手に恐怖を与える事は、脳を破壊する事と同じ

虐待などで子供を恫喝したりすると、上記の通り脳を萎縮させます。
まさに「心の暴力」と言えそうです。
これは、会社で部下を恐怖で縛り付ける方法にも共通して言えるはず。
「恐怖」がもたらす人への影響の重さは甚大ですね。